5DモデルStep2「Definition」|業務を構造化し、要件・ペルソナ・合格基準を定義する【ストラテジスト試験 Sec.29】

5Dモデル Step2 Definition 解説のアイキャッチ

本記事は、AIエージェント・ストラテジスト試験(AICX協会主催)の公式シラバスver1.0 Chapter 6 / Section 29「5DモデルStep2:Definition(定義・構造化)」 の解説です。Discoveryで選んだ業務を、設計・開発に渡せる具体的な形へ落とし込むのがDefinition。試験では 4つの成果物 の役割と記載内容が問われます。

Definitionの4つの成果物(業務フローチャート・要件定義書・ペルソナ定義・合格基準)の図
図1:Definitionの4つの成果物

① 業務フローチャート:暗黙知を可視化する

最初の作業は、対象業務を フローチャートとして詳細に可視化すること。Discoveryでは「この業務に問題がある」と発見しましたが、Definitionでは「具体的にどんな手順で行われているか」を書き出し、AIに任せる範囲と人間が担う範囲を切り分けます。ここで Section11のHTAやIPO が本格的に活躍。暗黙知のまま進めると役割分担が曖昧になり、後続のDesignで手戻りが起きます。「月間670時間かかっている」という発見(Discovery)を、6ステップに分解して役割分担まで具体化する——この粒度の違いがDiscoveryとDefinitionの境界線です。

② 要件定義書:4つの要素で書く

ストラテジストに求められるのは、最初から完全な要件定義書を一人で作ることではなく、「何を実現したいか・どの品質を求めるか・何を扱ってよく何を扱ってはいけないか」を叩き台として言語化し、実装側と認識をそろえることです。要件定義書の主な構成は4要素。

要件定義書の4要素(機能要件=何をするか・非機能要件=どの水準で・制約条件・前提条件)の図
図2:要件定義書の4要素
  • 機能要件:AIに何をさせるか(例:応募書類からスキルを抽出する、適合度を算出する)。
  • 非機能要件どの水準で動作してほしいか(例:30秒以内に結果を返す、平日日中は安定稼働)=応答速度・安定性・可用性。
  • 制約条件:守らなければならないルール(例:性別・年齢を評価に用いない=バイアス防止)。
  • 前提条件:あらかじめ満たされているとみなす条件(例:応募書類はPDF/Wordで提出される)。

判別のコツは、「何をするか」が機能要件、「どの水準で実現するか」が非機能要件。要件定義書は単なる開発文書ではなく、業務側の要求を整理し実装側と認識をそろえる共通の土台です。

③ ペルソナ定義:属性でなく「出力をどう使うか」

ペルソナとは、AIエージェントを使うユーザーの典型像。これが曖昧だと「技術的にはすごいが誰も使わないエージェント」になります。AI固有のペルソナで重要なのは、年齢や役職といった属性ではなく 「この人はAIの出力をどう使い、どんな判断を下すのか」。たとえば「スコアを見て一次合否を判断する人事担当者」はスコアの信頼性を、「根拠を見て面接対象を絞るエンジニアリングマネージャー」は根拠の具体性を重視する——この違いが機能要件に直結します(「根拠が欲しい」→「判定理由のコメントを自動生成する」機能)。出力を確認・監督する 間接ユーザー も忘れずに(SIPOCの受け取り手の発想)。

④ 合格基準の事前定義:PoCの「ものさし」を先に作る

合格基準は、AIの品質が「業務に使えるレベルか」を判断する 定量的な基準。Definitionの段階で決めておく理由は、Step4のPoCの合否判定に使うから。事前に決めないと「これで十分か」が主観的になります。「なんとなく90%」ではなく 業務上の要求から逆算して設定。そして 合格基準(PoCの合否を判定する一回限りの基準)とKPI(運用中の継続的な成果指標)は区別します。

試験ではこう問われる(予想問題)

本試験は架空企業のケースをもとにした多肢選択式(4択)です。Section29の理解度を測る問題は、たとえば次のような形が予想されます。選択肢をクリックして解答してみてください(※当サイト独自の予想問題であり、公式の出題ではありません)。

予想問題

問い合わせ対応AIの要件定義書に次の記載がある。「非機能要件」に該当するものはどれか。

解説:正解はB。「5秒以内・安定して」は応答速度・安定性に関する非機能要件です。A・C・Dはいずれも「AIに何をさせるか」という機能要件。判別の決め手は「何をするか(機能要件)」なのか「どの水準でするか(非機能要件)」なのかです。

このセクションの要点まとめ

  • Definitionは、Discoveryで選んだ業務を設計に渡せる形にする段階。成果物は業務フローチャート・要件定義書・ペルソナ定義・合格基準の4つ。
  • 業務をフローで構造化しAI/人の役割分担を切り分ける(HTA/IPO活用)。粒度がDiscoveryとの境界。
  • 要件定義書は機能要件(何をするか)/非機能要件(どの水準で)/制約条件/前提条件。叩き台でよい。
  • ペルソナは属性でなく「出力をどう使い、どう判断するか」。間接ユーザーも定義。
  • 合格基準はPoCの合否用に事前定義(業務要求から逆算)。KPIとは区別する。

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※本記事は、AICX協会 公式シラバスver1.0 の構成(Section29「5DモデルStep2:Definition」)に基づき、当サイトが独自に解説・例示したものです。公式テキスト本文・図版の転載は行っていません。図はすべて当サイトのオリジナルです。例示や予想問題は当サイトオリジナルであり、実際の出題内容を示すものではありません。最新の正式情報は AICX協会公式サイト をご確認ください。

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